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guide to Basque

シードレリア(Sidreria)

バスク地元っ子流、食の楽しみ方 シードラとシードレリア。

バスク語でsagardoaー日本語に直訳するとリンゴワイン。これを製造するのがsidreria(sagardotegi)-シードレリアです。

この地にシードレリアが生まれたのは16世紀ごろ。それまでは、各家庭で自家製のシードラを作っていましたが、16世紀になると他者へ販売目的のシードレリアが生まれ始じめます。というのも、その頃、バスクでは捕鯨のために木の船を作り、長い船旅にでるようになるのです。数か月に渡る船の上の生活の水分補給に重宝されたのが、昔から地元で飲まれていたシードラ。なんと船員1人当たり、1日3ℓのシードラを飲む計算で積まれていったとか。シードラに含まれるビタミンのおかげで、当時航海士にとって恐れの多い脚気になることが、他のところからの航海士よりだいぶ少なかったともいわれています。

実際現在存在するシードレリアの多くが、サンセバスチャンを流れるウルメア川の南にある町、Astigarraga(アスティガラガ)に集中しているのも、当時船に直接アスティガラガからシードラを積み荷し、サンセバスチャンを通りサンセバスチャンの港から航海に出向するのに、とても便利だったからなのです。

 

こうして長い間、バスクの人たちに愛され続けてきたシードラ、ただ20世紀初頭から、ここバスクの地にも徐々にビールやワインなど、世界のドリンクが入ってくるようになり、地元の人のシードラ離れが進み、また同時にここバスクは急激に産業化が進み、たくさんのリンゴ畑が切り崩され、シードレリアの継続の危機に陥った苦しい時代もありました。

押し寄せてくる社会の変化に、模索を続けたシードラ製造農家。その結果が、現在では定番の「シードレリアをレストランとする」という新たなビジネススタイルだったわけです。当時、シードレリア毎年12月末から1月頃に新酒ができると、いわゆるお得意先である、レストランのオーナーや美食倶楽部の会員を招いて、発注契約をしてもらうための「試飲会」を開いたわけです。つまり当時は現在のように一般人がシードレリアにいってシードラをたしなむという習慣はあらず、あくまでも飲食関係のお得意さんのみの特権だったわけです。

同じシードレリア農家で同じ年に造られたシードラでも、使用するリンゴの種の配合や、リンゴ畑の地理的要因、収穫のタイミング、発酵に使用する木樽のコンディション等、様々な要因で、樽ごとに多少の味の差があるため、それぞれのオーナー達は、様々なシードレリアの様々な樽のシードラを試飲して、その年に仕入れるシードラを決めていたのです。

アルコール度4-6度くらいが一般のシードラ。決してアルコール度数が高いわけではないですが、かといってすきっ腹に何杯も試飲のために飲んでいたら、やっぱりお酒が回ってしまいますよね。更に口直しをしながら試飲をしていかないと、なかなか判断も難しいもの。そのため、試飲をする飲食店のオーナーや美食倶楽部の担当者達は自らつまみを持ち込み、シードレリアとしても、そうであったら、「お客様たち」がもってきた食材を焼いたり調理する「火」はこちらで用意するよーーこうしてシードレリアが用意した炭火で、シードラに良く合うう”お肉”等を焼いて食べる習慣が始まったのです。

そしてシードレリアの主人はさらに考えるのです。新酒ができたら、飲食店のオーナーだけでなく、一般の人達にも飲みに来てもらったらいいのではないか、、と。こうして現在では定番となった新酒が解禁される1月から5月まで、シードレリアにいって、樽から直接シードラを試飲しながら、シードレリアメニューを頂くという習慣になっていったわけです。

なぜ一年中ではなく、1月から5月のみなのでしょうか。それは、先ほども申し上げたように500年前も今もシードラはとってもナチュラルで化学品などは一般的には一切加えません。10月に収穫したリンゴをすぐに砕き、果汁を絞り、タンクに入れると自然にリンゴの皮に含まれる酵母で自然と発酵が始まります。この発酵は終わることがなく常に発酵し続けるのです。そうすると常温に置かれている木樽で発酵が始まるとちょうど1月頃から美味しくリンゴジュースがシードラとしていただけるのですが、5月も過ぎてくると、発酵されすぎてしまい、もはやシードラからリンゴ酢になっていってしまうのです。そのため最近までは、シードレリアで直接樽から飲めるのは5月まで。その後、シードレリアはレストランは閉め、残りのシードラは瓶詰めにして、引き続き販売するというスタイルでした。

ただここ数年は、シードラを貯蔵する樽がある倉庫をエアコン等で温度をぐっと下げることにより、本来であれば1月頃に飲み頃のシードラの発酵を遅らせ、1年中樽からシードラを楽しめるように工夫しているシードレリアも増えてきました。

シードレリアが運営するレストランはちょっぴり特別。もちろん従来オープン期間が1月から5月だということ、基本的には飲み物はシードラしかないということ(最近はリンゴジュースやワイン等を置くシードレリアも多くなってきましたが)、そしてシードレリアコ―スという感じでどこのシードレリアに言っても、同じコースなのです。

<<シードレリアコース>>

塩ダラのオムレツ Tortilla de Bacalao 

塩ダラのソテーにピーマンと玉ねぎのせ Bacalao Frito 

Lボーンステーキ Txuleta 

地元のチーズと花梨のジャム Queso Idiazabal y membrillo

シードラ飲み放題

 

そのため、地元の人達は、●●のLボーンステーキがおいしいとか、●●のシードラが好きだ。。なぞと言いながら、気の知れた仲間たちとシードレリアでの食事を楽しみにしているわけです。また、バスクのシードラ文化の醍醐味はTXOTX。TXOTXとはバスク語で爪楊枝のこと。多くのシードレリアでは、シードラの樽が保管されているところまでアクセスでき、そこで樽から直接グラスにシードラを注いで楽しむことができるのです。同じシードレリアによっても、樽ごとにちょっとずつ、風味が異なるもの。たくさんの樽から、自分の好みのシードラを発見したいものです。大抵の場合、店員さんがTXOTXと叫ぶと、お客さん達はその樽の前に一列。自分の前の人が注いでいる間には、もう腰を低くし、準備。前の人がコップを外したら、すかさずシードラが溢れだすところにコップを持っていき、指2本分くらい注がれたところで、次の人へ。そのあとさっと、飲み干すことも忘れずに。

シードラ用のコップというのは比較的大きいですが、これを並々継いでしまってはナンセンス。シードラが持つ微発泡なさわやかさと香りを最大限に楽しむべく、「いっきに飲める量」をつぐのが粋。そのため必ず一度にコップに注ぐ量は指2本分ほどとされているのです。

ただし多くのシードレリアは昔ながらの石造りの家である場合が多く、暖房等を焚いてしまうと、シードラが早く痛んでしまうので、暖房等がない場合が多いので、暖かい上着をお持ちになることをお忘れなく。

 

是非シードレリアでの食事だけにとどまらず、シードラ製造過程の見学等も可能ですので、ご興味のある方は是非お問合せください。

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