ALBAOLA バスクの秘められた造船技術
バスク人と捕鯨は、13世紀頃から始まったといわれています。バスクがあるカンタブリア海域に秋ごろに訪れる、鯨の群れ。それを捕獲し、灯の燃料として利用されていました。その後時代が流れるにつれ、カンタブリア海域では鯨の数が減少したのもあり、バスク人たちは数年かけて捕鯨船を作り、集団でいる鯨の群れをめざし、アイルランド海域、さらには大西洋をわたってカナダのテラノバ近郊まで航海をしていたことが最新の研究でわかってきました。一説によると1375年にバスクの漁師たちが捕鯨、そしてバカラオ(タラ)の捕獲のため、テラノバに到着していたといわれており、有名な世界で初めてコロンブスがヨーロッパとアメリカ大陸を結ぶきっかけを作ったのが1492年のことですから、バスク人は航海時代のもっと前からアメリカ大陸の存在、航路を把握したたのかもしれません。
全ては1985年のカナダの海底での大発見からこのプロジェクトははじりました。カナダの北東、テラノバのRed Bayで、1565年に沈没した、バスクの木でつくられた捕鯨船”San Juan”がカナダの海底の考古学チームのおかげで発見されたのです。それはその時代、サンセバスチャンのお隣の入江、Pasaiaで作られた、バスクの捕鯨船、当時の時代のものとして、一番完全に近い状態で発掘されたのでした。そして、そのことはすぐさま、雑誌「ナショナル・グラフィック」の表紙に掲載され、世界中に知れ渡りました。
そしてすぐさま、カナダの研究チームが30年にわたって、ロマンが詰まった遠いスペインの北東からやってきた、バスクの捕鯨船の研究が始まります。沈没から420年がたっているため、最初の8年間は研究というより、船の上に積まれた泥や砂を取り除く作業に時間が要されました。
発掘から、約30年後、現在博物館Albaolaの館長でもある、Xabier Agoteさんを発端とし、当時とまったく同じ場所、同じ技法を使って、再現しようというプロジェクトがここバスクで始まりました。16世紀中盤の造船技術というのはもちろん今日では馴染みが薄いことも多かったそうですが、あえて16世紀の造船技術を忠実に再現しながら、2014年から船を再現をはじめました。
その忠実な技巧などが評価され2015年には、ユネスコ世界遺産保護活動の一環としてユネスコからも協賛を得られるようになり、更に忠実に再現するのによりよい環境が整いました。
現在はこの博物館は、一部は当時のバスクの捕鯨文化や捕鯨船などを伝える博物館になっており、もう一部は、San Juanを始め、世界のさまざまな伝統造船技術を学ぶ学校となっています。
是非、サンセバスチャンから足を延ばして、15世紀のバスク人の捕鯨にかけたロマンを覗いてみませんか?
<基本情報>
住所: Ondartxo ibilbidea 1, 20110 Pasai San Pedro
電話:(+34) 943 29 24 26
公式ホームページ http://www.albaola.com/es/