サンセバスチャンから南に内陸をすすむと、人口1万人ほどが暮らすオルディシア村に到着します。
オルディシアと言えば、毎週水曜日に開催される市場は、ここ美食家が多く存在するバスクにでも非常に有名で、その規模・歴史とともに、バスクの中で最も重要な市場の1つとなっています。
では、なぜこの山バスクの真ん中にある、オルディシア村でそのような大きな市場が開かれるようになったのでしょうか?多くの村同様、12世紀頃からは、すでにこのオルディシアで市場が開かれていたという証拠は残っていますが、オルディシアの市場の存在を一躍有名にしたのが、1512年にこの村を襲った大火災。村は焼け野原になってしまったのです。
見るも無残になったこの村のことを知った、当時のスペインの王女ファナ。(彼女は、あの有名なスペインを統一した王女、イザベル1世の娘でありますが、当時の彼女を待ち受ける境遇の影響もあり、あだ名は狂女ファナ。実際この火災が起こった1512年には、事実上カスティージャ王国の王女でありながら、実の父フェルナンド2世によって、サンタ・クララ修道院に幽霊されている時期だったのです)
実際のところ、彼女自身の判断だったのか、そうでないのかはわかりませんが、いずれにせよ1512年の大火災から村の復興を助けるため、1年間毎週水曜日に行われる市場では、一切売り手も買い手も税金を納めなくてよいという免税処置が行われ、これをきっかけにオルディシア村の市場は、他の村とは格別な盛り上がりをみせたのです。
更に、1860年に鉄道がこのバスクの地に敷かれた際、オルディシアに列車駅が設けられました。それによって、隣接の重要なパンプロ―ナやサンセバスチャンとも結ばれ、人や物の動きが容易になり、更にオルディシアの市場の重要度が増していくのでした。
現在ではオルディシア市場において、生産者と消費者によって同意された各農作物の価格は、その後地元の新聞に発表され、バスク全体において各農作物の販売の際の料金設定の目安とされているほど、重要な市場なのです。
是非、食材豊かなこのバスクでとれた農産物やチーズが集まるオルディシア市場に訪れてみませんか?
ディスカバリーバスクでは、オルディシア市場でのお買い物のお手伝いや、その後購入した食材を利用した簡単なピンチョス等の料理教室のアレンジ等も行っております。