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guide to Basque

シードレリア

バスク地元っ子流、食の楽しみ方 シードラとシードレリア。 バスクの地元っ子には欠かせないもの。シードラはいわゆるリンゴ酒。英語に訳すとサイダー。なんと聞くと、さぞかし甘そうな飲み物を想像してしまいそうですが、ここバスク地方のシードラの甘みは基本的に控えめ。 アルコール度はおよそ5度~6度程度。ちょっと酸っぱく、ほんのり苦いシードラ。バスク地方のシードラは人工的に炭酸等を含めることはないので、いたって自然な味。発酵の段階でほんの少しだけ、天然ガスが発生するため、それを最大限に楽しむ飲み方としては、グラスにたたきつけるように注ぐこと。しかも一回にコップに注ぐのは指3本分程度。そして注いだらさっとすぐに飲むのが地元流。知ってはいても、ついついおしゃべりに夢中になってしまって、コップに注いだシードラを飲まずにいると、必ず地元の人から「ほれほれ、早く飲め」と言われることも少なくありません。 バルでシードラを一杯注文して、店員さんが、上からコップにシードラを叩きつける姿を見るのもなかなか良いですが、やっぱりサンセバスチャンに来たら、一度は必ず行ってみたいのが、シードレリア。シードレリアとは、シードラの生産農家であり工場。そして多くの場合はレストランが隣接されているのです。元々、シードラの購入業者が、新作のシードラをどこから仕入れるかを決めるため、各シードレリアに行き、シードラを試飲していたのが、この現在バスクっ子に愛される、シードレリアの始まり。たくさんのシードラを試飲しなければいけないので、お腹が空いては酔いが早く回ってしまい、仕事にならない。ということで、元々はシードラ購入業者が自ら、腹持ちのいいChuleta(Tボーンステーキ)を持ち込み、シードレリアが炭火を提供していたのがきっかけ。それが徐々に習慣となり、今はシードラの主な生産地、サンセバスチャンのお隣の村Astigarragaを始め、その変域中心に約50のシードレリアがオープンしました。 そして、興味深いのは、いずれのシードレリアも“シードラメニュー”と呼ばれる、同一のメニューを提供していることです。一般的な“シードラメニュー”とは、Tortilla de Bacalao(バカラオのオムレツ)、Bacalao Frito com Pimientos(バカラオのソテーに、甘くなるまで炒めた玉ねぎとピーマンのせ)、Chuleta(Tボーンステーキ)、そしてデザートとしてQueso de Idiazabal y membrillo(バスクのイディアサバルチーズと、ナッツ、そして花梨のゼリー)に、シードラ飲み放題、となっています。 元々は、シードラにはシーズンがあるもの。シードラはワインとは違い、その年取れたものを、その年頂くのが、美味しくいただく秘訣。そのため毎年、サンセバスチャンのお祭りである1月20日の一週間前程度に、シードラ解禁されます。この日以降、バスクっ子は、「やれ誕生日だ、お祝いだ」と言っては、家族、友達とシードレリアに集うのが習慣になっています。シードラの季節は毎年1月の中旬から5月の後半ぐらいまで。大方のシードレリアは、一年のその時期にしかオープンをしませんが、今では一年中オープンしているシードレリアもあるので、いつの時期でもシードラ体験はすることができます。 また、バスクのシードラ文化の醍醐味はTXOTX。TXOTXとはバスク語で爪楊枝のこと。多くのシードレリアでは、シードラの樽が保管されているところまでアクセスでき、そこで樽から直接グラスにシードラを注いで楽しむことができるのです。同じシードレリアによっても、樽ごとにちょっとずつ、風味が異なるもの。たくさんの樽から、自分の好みのシードラを発見したいものです。大抵の場合、店員さんがTXOTXと叫ぶと、お客さん達はその樽の前に一列。自分の前の人が注いでいる間には、もう腰を低くし、準備。前の人がコップを外したら、すかさずシードラが溢れだすところにコップを持っていき、指3本分くらい注がれたところで、次の人へ。そのあとさっと、飲み干すことも忘れずに。シードレリアは冬でもシードラの最適温度を保つため、レストランもひんやりしていますので、暖かい格好をしていくのも忘れずに。